改正宅地建物取引業法の概要について

現在の日本において、平成18年6月に住生活基本法が制定され、作って壊すフロー型の社会から、「いいものをつくって、きちんと手入れをして、長く大切に使う」ストック重視の住宅政策に転換することが明確に打ち出されました。
しかしながら現時点では、圧倒的な差で新築住宅が建てられており、総住宅戸数は6000万戸を越え現在も増加しています。
その結果、空き家住宅の問題も早急に対応を考えなくてはならなくなってきたとも言えます。このまま進めば7.8軒に1軒以上が空き家になる計算となってきております。

まずは安心して既存住宅を購入できるような環境を整える事が重要であると感じますが、現在色々な分野で取り組みは行われていますので、もう少し年月が必要かと思いますが、良い方向へ進んでいくと信じております。

既存住宅の取引については、買主は住宅の質に不安を抱えてしまうため、既存住宅を辞めて新築住宅にしようとか考えてしまう事も多くあるようです。これらの不安が取り除かれ、安心して既存住宅を選択できるようになれば良いと思います。
確かに現状では、既存住宅の場合、質の不安とリフォーム資金を追加した場合、新築住宅との金額差が少ないと言えます。
よほど立地条件にこだわりがないと、中々難しいと言えます。

しかしながら既存住宅の流通については、様々な取り組みが始まっています。
現状においても宅建業者が、専門家による建物状況調査の活用を促すことで、売主や買主が安心して既存住宅の取引ができる市場環境を整備することを目的として、平成28年6月に宅地建物取引業法が改正されました。

売主、買主と宅建業者による売買に関する媒介契約の締結や宅建業者から取得者となる者(買主)に対する売買対象物件に関する重要事項の説明、当事者間での売買契約の締結とこの3つの流れで進められます。

□ 媒介契約終結時
宅建業者は、既存の建物の売買等の媒介の契約を行ったときは、建物状況調査を実施する者のあっせんに関する事項を記載した書面を依頼者に交付する。これにより建物状況調査に対する認知が進み、建物状況調査の利用が促進される事が期待される。

□ 重要事項説明等
建物状況調査を実施しているか、又調査を実施している場合は、その結果の概要を説明する。
建物の建築、維持保全の状況に関する書類の保存の状況についての説明

□ 売買契約終結時
宅建業者は、既存建物売買の契約が成立したときは、建物の構造耐力上主要な部分等の状況について「書面」を当事者に交付する。

既存住宅の売買フロー及び期待される結果

新たな設置内容

①媒介契約終結時
宅建業者がインスペクション業者のあっせんの可否を示し媒介依頼者の意向に応じてあっせんする。
これにより、インスペクションを知らなかった消費者のサービス利用が促進される。

②重要事項説明
宅建業者がインスペクション結果を買主に対して説明する。
これにより建物の質を踏まえた購入判断や、交渉が可能になる。また既存住宅売買瑕疵保険の加入が促進される。

③売買契約終結時
基礎、外壁等の現況を売主、買主が相互に確認しその内容を宅建業者から売主、買主に書面で交付する。
これにより、建物瑕疵をめぐった、物件引渡し後のトラブルを防止する。

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