雨漏りの原因になりやすい箇所
現在、私共が手掛けた、雨漏りの調査・試験・修理の経験を加味しながら、部位別に雨漏りが発生しやすい箇所とその理由についてご説明を致します。
■屋根編
①瓦屋根の下葺ルーフィングシートの破れ・縮み劣化部
(瓦桟が止めてある釘穴から、屋根裏に雨漏りが浸入する)
②屋根板金部材
スチール製で出来ている、谷部・棟部と屋根本体の接合部からの雨漏りが多い
③瓦屋根棟しっくい部の乾燥・ひび割れ部
屋根の一番高い部分のある棟廻りの据付の際に使用する、粘土質系の練り物材が、紫外線に
よる乾燥、風・雨による浸食、地震による緩み等により、その部分から雨漏りの発生)
④スレート瓦・コロニアル屋根のひび割れ部(季節による温度差・人が乗る、揺れ風により割れる)
⑤スレート瓦・コロニアル屋根を塗装する事による毛細管現状による重なり部
何回かの塗装により、スレート瓦に当たった雨水の抜け道が塗料により埋まってしまい雨水が屋根
裏内部に廻り込んでしまう現象
⑥金属屋根の錆による浸入部
雨・風・紫外線により、錆が発生、その結果、表面の塗膜が剝がれ、亀裂・破損により錆が発生してしまい、その隙間から雨漏りが発生します。)
⑦屋根勾配の緩さからの重なり部(スチール製の建築部材は、熱により、屋根材の伸び縮みが発生します。その結果、長い年月の間に、隙間発生、そこから雨漏りが発生します。)
⑧陸屋根の防水部の破断部・ひび割れ部
紫外線・風・雨・地震により、防水材の表面が劣化・乾燥・ひび割れ・膨れが起こり、表面防水層からの浸透、また排水部のドレン部材廻りからの雨漏りが起きやすくなる
■外壁編
①モルタル外壁のひび割れ部
特に地震により開口部廻りのモルタル壁にひび割れが多く発生また、窓増設時、増築により既設
サッシ廻りの壁を処理する際に発生したひび割れ・水切り取り合い部等からの雨漏りも多い
②窯業サイディングの継ぎ目のシーリングの乾燥・ひび割れ部
窯業サイディングはH455㎜×L3,030㎜×t15㎜の板状の建材を、柱・間柱に下側から張付け
て行きます。その接合部に関しては幅15㎜前後の隙間を設け、建物が揺れた際に、その15㎜
の部分でクッションの役割を持たせるシーリング(コーキング)を練り込んでいき、ぶつかり合わない
様にします。その部分の破断です
③ALC外壁のジョイント部の ひび割れ部
ALC外壁材の別名は軽量気泡コンクリートです。断熱効果が高く、5階前後の建物においては、施工性が良く、ビル建築の外装材としては頻繁に使用されます。しかし、ジョイント部の亀裂・その他のひび割れが多く発生する為、かなりの割合で雨漏りの原因となる外壁材です。
④外壁そのものから、浸透による雨漏り
メンテナンス不足または、老朽化により、壁本体そのものから浸透して、建物内部に雨漏りを発生させます。又、壁同士をジョイントしてあるサネと言われる横目地からも雨漏りします。
■バルコニー編
①笠木部と外壁の取り合い部(笠木部材の一番端の部分です)
②笠木部と手すり部のジョイント部(特に笠木と手すり自体が鉄製の場合に多い)
③バルコニー床と掃出しサッシの取り合い部
サッシの取付位置が床に近ければ近いほど発生頻度が高い、JIOに基準ではバルコニー床とサッシ下場を最低15㎝以上は確保すると明記している
④バルコニー床排水部(ドレン)特に防水層とドレン部材の接合部からの雨漏りが多い
■サッシ廻り編
①サッシ廻りのシーリング材のひび割れ
②サッシそのものから(特に輸入サッシ・特別寸法の製作アルミフロントサッシからが多い)
③雨戸収納部の戸袋内部(横殴りの雨が降るケースが多く、木製戸袋が特に雨漏りが多い)
④トップライトサッシ廻りの捨て雨返し部材の・下葺防水テープの劣化部
まれに、トップライトのガラス面とアルミサッシ部のシーリングの劣化により雨漏りがする
⑤出窓サッシ庇のケラバ部( 庇屋根の元と外壁部の取り合い部)
■貫通部編
①空調設備の換気扇フード通気部・通風部
丸型のフードは良く内部に雨が浸入する、工場・店舗・事務所の大型施設に場合、換気ダクトがス パイラル管で出来ている為、とんでもない所からの雨漏りがする場合もある。
②エアコン冷媒管貫通部(防水処理不良に為)
室外機を屋上に設置する場合は、壁から出した冷媒管は、一度下側20㎝位下げ、そして、上に あげる切り回し方法で行わないと、保護テープの内部に入込んだ雨水が、壁貫通より内部に雨漏り
を発生さる。
■その他の部分編
①雨樋の詰りによるあふれ部
ごみ・泥で排水部が埋まっている場合、通常の雨では廻り込まない造作部に、あふれ水となった逆
流水による雨漏りを発生させる
②外灯・洗濯物干し取付ネジ部・鉄骨階段接合部等のネジ部材を使用した箇所
③ソーラーパネル架台部と屋根との接合部
ソーラーパネルを取り付ける際、どんなにしっかり防水処理をしても、水平面に近い部分にネジ等の
金物を使用すると、間違いなく将来漏れてくる
④外壁部化粧幕板接合部
⑤破風板と唐草部材との接合部
⑥タイル目地から
タイル目地については、防水機能はありません。タイルの内部の防水処理に問題がある場合にその部分のタイル外壁から雨漏りが発生する
⑦ALC外壁と基礎との取り合い部
3階~5階程度の鉄骨造りのALC外壁部材の場合圧倒的に雨漏りの頻度が高い、特に立上り の基礎(布基礎)がない場合に多く現れる
⑧基礎の上にある水切り部
特に2×4住宅の水切り部に発生する、恐らく壁張り付け時の通気層がない為だと思われる
その他、雨漏りの原因箇所は多岐にわたっておりますが、以上が主だった雨漏りの原因です。参考にしてください。